Monthly Archives: May 2009

「日本電産永守イズムの挑戦」を読んでみた

日本電産永守イズムの挑戦」を読んでみた。

日本電産永守イズムの挑戦

この本は一代で年商6000億円の企業を築いた日本電産の創業社長永守重信の個人史と、三協精機製作所の再建までのドキュメンタリで追った本。

日本電産に関しては、B2Bでやってる会社だから名前も知らなかった。ちょっと前に見たカンブリア宮殿に社長の永守さんが出演されていて、とてもおもしろい方だなぁと興味を持ったのでこの本を手に取ってみた。

色々と永守さんのすごいエピソードが出てくるんだけど、この人、高校生の時に塾を開業して地元の中学生を集めてかなりの実績を上げてたらしい。それで当時の大卒の初任給ほどの収入を得てたとか。しかもさらにその資金を元手に株式投資を始めてさらに一山儲けたらしい。授業中もずっとラジオを聞いて株価の変動を追ってたって…。

永守さんはM&Aのプロと呼ばれるだけあって企業、人を見る目がずば抜けている。
例えば、かつて日本電産の入社試験で早飯試験を実施したという。どういう試験かというと、受験者に「試験の前にまずゆっくり昼ご飯を食べてください。」と伝え、その中で15分以内で食べ終わった人を採用するというもの。これは義父から聞いた「戦時中に活躍したのは早飯、早風呂だったやつだ」という言葉が発想の元になっている。
後にこれについて講演で次のように述べている。

「早食いで入社した社員が東京大学から博士号をもらい、特許も200件持っているなど、世界に冠たる開発をしています。今でも五年たってから新入社員の成績表を開けてみると、会社に入ってからの実力と学校の成績がいかに関係ないかが分かります。」

その他にも人間の本質的な能力を指摘する発言をされています。

「人間の能力の差は5倍しかない。人間の知能とか経験とか知識なんて物は、そこそこの会社の社員であれば5倍もないのです。(中略)しかし意識には100倍の差がある。実際は100倍以上ですな、おそらく。従って頭のいい人を取るよりも、意識の高い人をとった方がうんと会社がよくなります。」

結果はその人の能力よりも意識の方に付随する、ということだと思う。もちろん永守さん自信の意識はとても高く、2010年に日本電産の売上高1兆円を掲げ、達成間近。さらに2030年には10兆円を達成することを公言されている。それについても本書の中で語っている。

「夢を形にするのが経営ですが、その夢の前にホラ。それも大ボラ、中ボラ、小ボラと変化して夢に辿り着く。夢まで来れば現実化するのは時間の問題です。ただ、2030年の売上高10兆円は現在のところ大ボラそのものですが…。」

どんな大きなこともまず口にすることから始まるということで、それを実現する為には徐々にその解像度を上げて行かなくてはいけないということだと思う。

このように永守さんの言葉はとにかく強く、色々と考えさせられる。
個人的な話だけど、最近少人数ながら人を束ねて活動をする機会があって色々と悩みが溜まってきているんだけど、この本を読んでわずかながら前向きに考えられるようになってきた。人を動かす時はもっと長期的な視点で考えなければいけないんだなぁと反省した。

後は文中で気になった発言。

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スコアによる弊害

最近ぼんやり考えてたことが、増井さんのこの書評で少し具体化したので一度文章化しておく。

競争目的ではないサービスにおいて、スコアと捉えられる要素が表示されることによる弊害についての考察。
※ただしこれはユーザーの思考に問題提起をしているだけで個々のサービスに対して批判をするものではありません。

favotter_cap.png
まず、Twitterを利用したサービスにFavotterというのがあって、このサービスは自分の発言をFavoriteしてくれたユーザーをその発言と対にして表示してくれる。これによって「あなたのこの発言に私は共感しますよ」とか「この発言はおもしろい」といった、言葉として返すまでもないちょっとした”評価(スコア)”を可視化してくれる。
このサービスによって、どうもFavoriteされやすい、Favorite狙いの発言をよく見かけるようになった。中にはたくさんFavoriteされるユーザー=えらいみたいな価値観も生まれているよう。
要するにFavotterによって、本来つぶやきをポストするという目的が、他人にうける発言をポストするという目的に変化すると。

ffffound_cap.png
それと同様に、FFFFOUNDの左上の~Followersという表記や、個々の画像の下にポストした順番が表示されてる。一時自分もそれを収集の目的にしてしまっていた時があった。本来の「自分が好きな画像の収集」というテーマがいつの間にか「他のユーザーがi love thisしそうな画像の収集」にすり替わってしまってた。

tumblr_cap.png
同じような事が一部のTumblrアカウントでも表面化してて、どうもReblogしている画像が他のアカウントと似たり寄ったりで個々のアカウントの特徴が希薄化してきてるように思う。
これはDashboardの自分のポストにReblogされた数や、like thisされた数が表示されてしまう為だと思う。それが収集の目的化してしまって、まるでユーザーが他のユーザーへのリコメンド作業をこなしてるようにも見える。

別段このような目的で使うことが間違ってるとは絶対に思わないし、こういう使い方もおもしろいと思う。だけどこういった「スコアとしての数字」や、「可視化された他人からの評価」に意識を引っ張られて、そもそも自分が使おうとしていた本来の目的がずれてしまうことはもったいないと思う。

この話は別にウェブサービスだけに限った話ではなく、他人の評価よりも個人のテーマやコンセプトを優先すべきだという一般的な意見にも合致すると思う。評価は結果に付随する物で、創造の過程で評価を気にすると結果がぶれてろくなものができない。

これの典型的な例としてラジオ番組、放送室で松本人志が言及していた「ヒットしたギャグと、そのギャグを作った芸人の作るギャグ第二弾の違い」が挙げられる。前者は自発的に生まれたものを他人が評価したという構図だけど、後者の場合、他人から評価される物を目的に作り、評価を待つというプロセスの逆転が起こっている。
ここでも前述したコンセプトのすり替わりが起こっているんじゃないだろうか。

まとめると、他人の評価だったり、点数のような数字はとても明快でしかも強いので意識が引っ張られやすい。しかしそれを創作のテーマやコンセプトに掲げてしまうと表面的で一過性のニーズを追いかけるという安易な手段に走ってしまいイノベーティブな思考が削がれてしまう。

そういった意味で「自分が何に向かって進んでいるのか」は常にハッキリと認識しておかないといけない。

「レバレッジ人脈術」を読んでみた

レバレッジコンサルティングの本田直之さんの「レバレッジ人脈術」を読んでみた。

レバレッジ人脈術

この本はよくある人脈作りのハウツー本ではなく、築いた人脈をどう活かすかということに重点を置いて書かれている。

起業を考えてる人がサラリーマンに相談すると否定的な意見しかもらえないが、経営者の友人に相談すると「企業する方がラク」、「リスクも少ない」といった反応が返ってくる。世界観、人生観がまるで違う。

という例を挙げ、自分の価値観にあった仲間を見つけ、ともに意識を高めあうということをこの人脈術の目的に挙げている。

あと注意点として、有名人と名刺交換をして「強い人脈」を得たと満足するのは間違いで、実際は自分のレベルよりも高い仕事をされている方には、こちらから貢献出来る事は少ないので何かを教えてもらうだけ、という一方的な関係になってしまい、あまり長続きしないと書かれている。

本当に価値のある人脈というのは頼ったりお願いするだけではなくコントリビューションで関係を深めあいながら切磋琢磨し、関わった全員が相乗効果を得るというのが理想として考えているよう。

今までは人脈を広げることを遠回りだと思ってたから割と消極的だったんだけど、こういう手段を経て切磋琢磨できる環境を整えることで結果的には自分の成長速度を上げられるんだなぁと思った。今後は自分の「環境」の概念の構成要素に「人脈」というのもひとつ考慮に入れて色々と再検討してみようと思う。

以下文中で引用されていた格言。

「成功に秘訣という物があるとすれば、それは、他人の立場を理解し、自分の立場と同時に、他人の立場からも物事を見ることの出来る能力である。」
―ヘンリー・フォード

「世の中の人は一年で出来ることを多く見積もりすぎる一方、五年で出来ることを少なく見積もりすぎている。」
―P. F. ドラッカー

「『”熱”のある場所に自らを持っていく』ことである。それは急成長している会社かもしれないし、何かの目標に向かって勉強している人達が集まる学校のようなところかもしれない。”熱”のある場所に行くようにすれば、そこから”熱”をもらってくることができるものなのだ」
―田中和彦

openFrameworksセットアップ(2)

前回から引き続きofのセットアップ。ようやくライブラリの関連づけの方法が分かった。
「プロジェクト→プロパティ」を開いて「構成プロパティ→C/C++」。右の画面の追加のインクルードディレクトリに「of_preRelease_v0.06_win32_VS2008libs」以下のフォルダ全部のパスを追加する。
scr01

そのあと「プロジェクト→プロパティ」を開いて「構成プロパティ→リンカ」。右の画面の追加のライブラリディレクトリに「of_preRelease_v0.06_win32_VS2008libs」以下のフォルダ全部のアドレスを追加する。
scr02

これでofのライブラリの関連付けができた。

ここまでやってたらexampleフォルダ内にemptyExampleってのを発見。開いたら初期設定済みのプロジェクトファイルがだった orz

というわけでemptyExampleフォルダをごっそりコピーして中のemptyExample.slnをVisual C++で開けば準備完了。あとはtestApp.cppを開いて中のsetup()とかdraw()の中ににコードを書いていけばおけ。

scr03

ちなみにsetup()が起動時に一度だけ実行される関数で、draw()が毎フレーム実行される関数。enterFrameのイベントハンドラみたいなもん。

どれぐらい高速なのかちょっと実験してみたら60fpsキープした状態で毎フレーム10000回drawRectできた。スゲェ。

で恒例のこれ。

Hello, World!!

あとはココ見てAPI把握して、もうちょっとC++勉強する。

[課題]グラフィッククリエーションB-I(5/7)

前回のチェックから一週間たち、修正した作品の再チェックを受けた。今回は前回の反省から文字とビジュアルの組み合わせ方を模索してみた。

前回同様、先生のコメントと個人的な考察。

005
コメント ありきたりな表現で全然だめ。上に小さく載せてる和文のレイアウトが田舎くさい(?)(冗談で仰ったのか、実際そのようなニュアンスが感じられるのか未確認。)

考察 個人的には作品の表現を殺さず文字を大胆に使用することができたので満足していたが、表現的によくある手法ということで却下された。
既出の表現をリサーチするという目的で色々な作品を見るというのも必要で、それと同時にそういったマンネリ化した表現を避ける意識の必要性も感じた。

006
コメント 上と比べて被写体はこっちの方が断然いい。文字の表現は「ぼやけいて何が悪い」というアンチテーゼを持っている。ただし文字組はだめ。配置はきっちりしすぎではないか?文字のサイズも要検討。

考察 ビジュアルがぼけているから文字もぼかすというプロセスが安直すぎる為却下されるかと思っていたが、自分の意図していなかった部分が評価され意外にもGOサインが出た。上段でもすこし触れたが、表現にせよ文字の配置にせよ、やはり何かしらの新しさを評価の軸にされているような気がする。

007
コメント 大嫌い。文字へのアプローチはいい。ただし図形的にビジュアルに埋もれてしまっているので書体から選び直すべき。左下の和文のレイアウトはだめ。ビジュアルに合わせてもっと異常さを演出するべき。

考察 嫌い、嫌いとおっしゃるのを聞いて笑ってたら、真顔で「いやこれマジだよ」と言われたのでちょっと怖かったw
個人的には作品がいくら嫌われようと別に構わないが、人として嫌われるとおしまいだよなぁとふと思った。おそらく先生もそういったスタンスで生徒とその作品に接してらっしゃるんだろうと思う。
あと文字にもっと興味を持てと言われた。恐らくビジュアルを鑑みず、やぶからぼうに書体を選んで使っている為、もっと本質的な理解をせよという意味でおっしゃられたんだと推測する。やはり書体選定の段階からビジュアルと文字との融合を考えるべきだと思った。
ちょっくら次回まで、どういうビジュアルにどういう狙いでその書体が使われているかというのを造形的に分析してみる。

[課題]グラフィッククリエーションB-I(4/30)

澤田先生によるグラフィッククリエーションB-Iの授業が始まった。一つ目の課題は多摩美術大学のオープンキャンパスの告知ポスター、もしくはTDCの告知ポスターの制作。

そして先週4/30に第1回目のチェックがあった。その時に提出したラフと先生に頂いたコメント、個人的な考察をメモ。

001
コメント:写真はいい。文字組が真面目すぎてつまらない。

002
コメント:だめ。おもしろくない。

003
コメント:個人的には嫌いだけど展開の可能性アリ。文字組つまらない。

004
コメント:だめ。

他の人の講評も含め、とにかく文字の扱いがダメとのこと。察するに文字と絵が渾然一体となって初めて良い作品となるということを仰ってるんだと思う。
どうも画面の端っこや、全体のバランス取った位置に文字をカッチリ組んでビシッと決める、みたいな作品を見慣れすぎてて、自分でも安直にそういうレイアウトを組んでしまう。なにしろ何も考えないで配置してもそこそこ引き締まって見えるからやっちゃうんだよなぁ。
(必然性を持ってそのようなレイアウトを取っている作品もあるのだろうが、今の僕にはそのあたりの必然性が分析できていないのでちょっと文章化できない。)

今回、仮で文字情報を置いてたにしてもちょっと配慮が足りなすぎたと反省。文字と絵が乖離しすぎてる。絵と文字をどう組み合わせていくかが次のテーマかな。
ただ問題は今までビジュアルばっかり弄くってきたから、文字情報とビジュアルの織り交ぜるテクニックが乏しい。
というわけでしばらく文字とビジュアルの関係に注目して資料漁ってみようと思う。

[AS3]実行時に未定義のプロパティにアクセスする方法

例えばライブラリから読み込んだSpriteの子Spriteにインスタンス名でアクセスしたいとか。これを普通にライブラリから読み込んだSpriteの子にアクセスしようとして、

//ライブラリからアタッチ
var sp:Sprite = new spriteAttachedFromLibrary() as Sprite;
//子Spriteにアクセス
var spChild:Sprite = sp.spriteAttachedFromLibraryChild;

とすると、
1119: 未定義である可能性が高いプロパティ “インスタンス名” に静的型 flash.display:Sprite の参照を使用してアクセスしています。
と怒られる。

これを回避するためには[]演算子でストリングリテラルを使ってアクセスする。
上記の場合だと、

//ライブラリからアタッチ
var sp:Sprite = new spriteAttachedFromLibrary() as Sprite;
//[]演算子で子Spriteにアクセス
var spChild:Sprite = sp[ "spriteAttachedFromLibraryChild" ];

こうするとエラー回避してアクセスできる。(via 凹村さん、ありがとうございました。)

#追記(09.05.01)
凹村さんに再度コメントいただきました。こういう時はgetChildByNameを使って子Spriteの参照引っ張ってくる方が妥当みたい。もしくはdynamicクラスのMovieClipを継承させて、そのままドットシンタックスでアクセスするか。

ちなみに以前むねごんさんに教えて頂いたんですが、これを応用するとFlashPlayerの上位バージョンで追加された新しいメソッドなども使える。
例えばFP10からFileReferenceに追加されたsaveメソッド、これをFP9までしか描き出せないFlashCS3からも利用できる。

var fr:FileReference = new FileReference();
fr[ "save" ]( byte, name );

書き方はこんな感じ。
ただしこのまま描き出したswfは対応バージョンが9になっているので、このsaveメソッドが実行されるとエラーがでる。なのでバイナリエディタでswfの対応バージョンを9から10に書き換えてやる。やり方はバイナリエディタでswfを開いて、4バイトめの「09」を「0A」に書き換えて保存。こんだけ。これでFlashCS3からもfileReference.saveを使ったローカルファイルアクセスができる。

使用は自己責任でお願いします。