さっきバイト帰りの電車で「タイポグラフィ・タイプフェイスの現在」を読み終えた。この本は女子美で行われた講演録をもとに書かれてる。
講演をされた方は小塚明朝、小塚ゴシックの小塚さんやヒラギノの鳥海さん他、タイプデザイナー、タイポグラファー合わせて8名(詳しくはこちら)。
で、内容は全編通して和文を中心とした話がメインだった。
前半のタイプデザイナー(書体設計家)は和文書体を作るにあたって本人が考えていることを語ってた。
どういう目的で使われる書体を作るのかというコンセプトにまつわる話や、狙ったイメージを生み出すための造形的工夫の話とか。
後半のタイポグラファーは書体の歴史とそれを踏まえた扱い方を語ってる。
みんなデジタルフォントは質がいいのがほとんど無いって言ってる。
活字や写植の文字を見て目が肥えてる人はデジタルフォントの無機質な線の具合や、組み上がりのバラバラ感が気になるらしい。僕はそこまではわからんな。
あと気になった面白い話。
- 和文書体の特徴はひらがなに出る。
- フトコロを狭い状態から広くしていくと、「暗い、スマート、大人」というイメージから「明るい、堂々、子供」というイメージに移る。
- 線の太さを細い状態から太くしていくと、「繊細、弱い、女性、薄い」というイメージから「武骨、強い、男性、濃い」というイメージに移る。
- エレメントを無機的な状態から有機的にしていくと、「単純、クール、機械的、情緒がない」というイメージから「複雑、ホット、人間的、情緒がある」というイメージに移る。
- 重心を上にある状態から下に下げていくと、「若い、軽快、スマート」というイメージから「年輩、鈍重、堂々」というイメージに移る。
- ヒラギノのコンセプトは”現代的なスタイル”、”スタンダード”、”均一なトーン”。イメージは”若々しい”、”さわやか”、”クリア”。
- 縦組み用の書体は上下左右の大小にバラつきがあって、横組み用の書体は正方形に極力収まるように設計してある。
- 和文欧文問わず硬い書体は読んでいて疲れるので本文には向かない。
- Helveticaは個々の文字の完成度は高いが、「6」と「9」等似た形が多いため可読性が悪い。
- 20世紀ごろから可読性を求めてカウンターを大きく開ける傾向が強くなり、それがモダンなイメージを持たせることにつながっている。
- 朝日新聞の書体が元になっている為、モトヤ明朝はデジタルフォントの中で最も整理されている。
- モニタを見ながら書体を選ぶな、頭の中で書体を選べるようになれ。
- PostScriptは三次曲線(ベジェ曲線)で、TrueTypeは二次曲線(スプライン曲線)なのでTrueTypeは曲線が荒い。