Universal Everything

イギリスの広告賞「D&AD」の中で行われている、第一線で活躍するクリエーターがスピーチを行うPresident Lectureに「Unversal Everything」(以下UE)のMatt Pykeが登場した。その内容は自身の生い立ちから、UEで行っているプロジェクトの紹介、そしてジェネレイティブデザインについて語った。

D&AD Presidents Lecture / Matt Pyke from Universal Everything on Vimeo.

UEはイギリスを拠点にしており、その代表を勤めるMatt Pykeは「The Designers Republic」の元メンバー。最近では2012年に行われるロンドンオリンピックのプロジェクトにも参加していたり、他にもクライアントリストには、Apple、Sony、Nokia、Nike、CNN、V&A、Warp Recordsなど多種多様なビッグクライアントが名を連ねている。

UEは常駐で所属しているのはMatt Pyke1人のみだが、プロジェクトごとに世界中のクリエーターと組み、その時々によって一緒に仕事をする相手を変えるという風変わりな仕事の仕方をしている。しかも場合によっては仕事をするクリエーターと一度も会うことなく、メールやメッセンジャーだけのコミュニケーションで完結してしまう事もあるそう。

UEの仕事は表現も多様だが、中でもインタラクティブやジェネレイティブな表現が多く、その中のいくつかを挙げてみる。

まずはAudi TTのTVCM。これは風をビジュアライズしたプログラムをベースにprocessingによって生成されたHD Video。これにはtoxiの名前で活躍するインタラクティブデザイナーのKarsten Schmidtがプログラマーとして参加している。

Audi TT Launch / Viral Film from Universal Everything on Vimeo.

次は2007年のLovebytesのGenerative Identity。Generative Identityとは固定化された静的なシンボルマークではなく、プログラムによって規定されたルールから生成される形全体をシンボルとして扱うというもの。そのコンセプトとプログラムをUEがデザインした。

Lovebytes 2007 / Cinema ident from Universal Everything on Vimeo.

三つ目はイギリスのThe Victoria & Albert Museumで行った「Forever」というインスタレーション。これはV&A Musiumの庭に巨大なビデオウォールを設置し、そこで流れる音楽に反応しながら延々と変化し続ける映像を流すというもの。

Forever at the Victoria & Albert Museum from Universal Everything on Vimeo.

The Making of Forever / Victoria & Albert Museum from Universal Everything on Vimeo.

これらの作品はすべて何かしらの形でインタラクティブな要素が入っているが、そのインタラクティブという部分を昇華し、「サウンドに反応する映像」というコンセプトのみで世界中のプログラマーやアーティスト、ミュージシャン、アニメーターとコラボレートしたのが「Advanced Beauty」というプロジェクト。これにはflight404のRobert Hodginも参加している。今はDVDやBlurayで販売されてる作品だが、ココですべての作品が見れる。

Advanced Beauty / Out Now from Universal Everything on Vimeo.

このような先進的で美しく、どちらかと言うとアートに近い作品を作りつつも、世界的なクライアントを相手にコマーシャルワーク続けているUEの活躍に今後も目が離せない。

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Karsten Schmidt (aka toxi) | source-lab. note